ミネラル不足を解消する!毎日の食事で摂りたい栄養素と食べ物リスト

人体を構成する元素は約20種類と言われていますが、そのうち酸素、炭素、水素、窒素が約96%を占めています。これら4種の元素を除いた残りの4%の元素がミネラルで、無機質とも呼ばれています。


ミネラルには様々な種類がありますが、その中でもナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどを多量ミネラル、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンなどを微量ミネラルと呼び、それぞれの1日当たりの摂取基準が設定されています。

ミネラルは、体内で骨や歯など体組織の構成成分になったり、体液の浸透圧に関与しpHを維持したり、酵素などの生理作用を調整する、といった働きを持っています。

不足すると様々な不調を引き起こしますが、体内では合成できないため、食品(食事)から摂取する必要があります。 この記事では、ミネラルが不足する原因を探り、不足しがちなミネラルはどのような食品に多く含まれていて、食事ではどのように摂るべきかを具体的に見ていきます。

「ミネラル不足」を引き起こす原因とは?


現代を生きる私たちの生活は多忙で多様です。
食事も人それぞれで、健康に気を配っている人もいれば、手軽なレトルト食品を利用している人、コンビニ弁当や菓子パンなどの加工品を利用している人、ファストフードやスナック菓子に偏りがちな人もおり、千差万別です。

レトルト食品や加工食品、ファストフードやスナック類には、鮮度を保ち、風味をよくするために様々な種類の食品添加物が使用されています。中でも多くの食品に使用されているのがリン酸塩です。

ミネラルは主に胃液で消化され、小腸で吸収されます。
一方、リン酸塩は元々体内に吸収されない害のない添加物ですが、ミネラルと結合する性質を持っているため、結合したミネラルは小腸へは届かず、リン酸塩と一緒に体外へ排出されてしまいます。

リン酸塩は、食品添加物として多くの働きを持っており、カップ麺やコンビニ弁当、菓子パン、スナック類だけでなく、ハムやソーセージ、練製品といった加工品や、調味料などにも含まれており、私たちがそれとは知らずに口にしていることも多い添加物です。

これだけ私たちの日常に入り込んでいるリン酸塩を排除することは、現実的にはなかなか難しいですが、リン酸塩の入っていない食品をできるだけ摂る、中でもミネラルを多く含む食品を撮る、という対策が理想的です。

当然、摂取するミネラルにも、必要量が満たされているものと、不足しがちなものがあります。
摂取基準が設定されているミネラルを整理してみましょう。

<必要量が満たされているもの>
ナトリウム、カリウム、リン、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン

<不足しがちなもの>
カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛


13種類のミネラルのうち約2/3種類は、一般的な食生活では不足の問題が発生しないものですが、残りの1/3に当たる4種類のミネラルでは不足が発生しています。
それでは不足する4種のミネラルについて、それぞれの主な働きと、不足時に発生する症状、また、それらはどのような食品に多く含まれているのかを、具体的に見ていきましょう。

「ミネラル不足」解消のカギは食事にあった!
摂りたい栄養素と食べ物リスト

① カルシウム
主な働きは、骨や歯の構成と、体を支えることですが、一部は血中や筋肉中に存在し、止血や神経系なども司っています。
不足すると骨粗鬆症などの骨疾患として現れます。

1日あたりの推定平均必要量
20代男性:650mg、30代以上の男性:600mg
20代以上の女性:550mg


1食あたりの含有量 含有量
どじょう水煮 80g(約10尾) 960mg
干しえび 8g(大さじ1杯) 570mg
ワカサギ 75g(約5尾) 340mg
生揚げ 120g(3/5枚) 290mg
牛乳 210g(1カップ) 230mg
小松菜 100g(約1/3束) 170mg
プロセスチーズ 20g(1個) 130mg
干しひじき 10g(大さじ2杯) 100mg

② マグネシウム
体内の300種類上の酵素反応に関与しており、タンパク質の合成や、糖質の代謝など多くの代謝を司っています。
さらに、筋肉の収縮や神経伝達、体温や血圧の調節にも関与しており、不足はけいれんや抑うつ症、不安感、集中力の低下などの神経症状を起こします。

1日あたりの推定平均必要量
20代男性:280mg、30代以上の男性:310mg
20代女性:230mg、30代以上の女性:240mg


1食あたりの含有量 含有量
長昆布 10g (10cm角1枚) 70mg
干しひじき 10g (大さじ2杯) 64mg
落花生 30g (1/4カップ強) 60mg
絹ごし豆腐 100g (1/3丁) 55mg
するめ 30g (1/4枚) 51mg
納豆 50g (1パック) 50mg
アーモンド 15g (10粒) 44mg
ほうれん草 60g (2株)/td> 41mg

③ 鉄(1日あたりの推定平均必要量)
多くが赤血球中のヘモグロビンの中に存在しており、呼吸時に取り込んだ酸素を、体内の各組織に運搬する働きをしています。
不足は貧血、食欲不振、集中力の低下を招きます。

20代以上の男性:6.5mg
20代女性:8.5mg、30代以上の女性:9mg

1食あたりの含有量 含有量
豚レバー 50g(2切れ) 6.5mg
あさり水煮 20g 5.9mg
干しひじき 10g(大さじ2杯) 5.8mg
どじょう水煮 80g(約10尾) 4.5mg
生揚げ 120g(3/5枚) 3.1mg
小松菜 100g(約1/3束) 2.8mg
目刺し 40g(2尾) 1.7mg
卵黄 20g(1個中)) 1.2mg

④ 亜鉛
100種を超える酵素に含まれており、酵素の活性化に関与しているほか、糖質の代謝やインスリンの合成にも関係しています。
欠乏は、味覚障害、成長障害、皮膚症、生殖機能異常などを引き起こします。

1日あたりの推定平均必要量
20代以上の男性:9mg
20代以上の女性:7mg

1食あたりの含有量 含有量
生牡蠣むき身 80g(10個) 10.6mg
牛リブロース 100g 6.3mg
豚レバー 50g(2切) 3.5mg
うなぎ蒲焼き 100g(1串) 2.7mg
かたくちいわし 20g(大さじ4杯) 1.6mg
プロセスチーズ 20g(1個) 0.6mg
アーモンド 15g(10粒) 0.5mg
煎りごま 3g(小さじ1杯) 0.2mg

「ミネラル不足」に陥らないためには?日々の食事に取り入れるべき食品とは?

上記で、4種類の不足しがちなミネラルが多く含まれている食品をまとめましたが、ここからは先に触れたように、加工品は出来る限り避けた生活を送ることを前提として、日々の食事で取り入れるべき食品について、考えてみましょう。

重複しているものが多いジャンルは、どじょうやワカサギ、干しえび、するめ、生牡蠣、あさりの水煮、目刺し、かたくちいわし、うなぎ蒲焼きといった魚介類がダントツです。
次いでひじきや昆布などの海藻類と生揚げ、絹ごし豆腐、納豆といった豆類、牛乳やプロセスチーズなどの乳製品、落花生やアーモンド、煎りごまといった種実類に続き、肉類、そして野菜類からは小松菜が複数回登場しています。

「まごはやさしい(ま=豆、ご=ごま、は=わかめ・海藻、や=野菜、さ=魚、し=しいたけ・きのこ、い=いも)」ではありませんが、しっかりとタンパク質を補いながら、食物繊維も豊富に含む食品、という印象を受けます。

ミネラルは加熱に弱いという性質もあるため、過度の過熱を避けて摂取することが好ましいです。

毎食の主菜には魚介類や大豆製品をメインで用い、時々肉類も使ってみましょう。副菜として、ひじきを常備菜にするのもいいかもしれません。
その他、小松菜などの野菜をごま和えにしてみたり、汁物は海藻類と野菜類の組み合わせを定番にするのもおすすめです。

乳製品はプラスアルファの一品として取り入れて変化を付ける、といった工夫をして、バランスよく摂れるようにしたいものです。


まとめ

人間が一度の食事で摂れる食材の量は限りがありますが、ミネラルは食品から摂取するしか方法がありません。
多忙で食事まで手が回らない時や、量や嗜好、アレルギーなど、クリアするのが難しい問題を抱えている場合は、無理をせずに、栄養補助食品であるサプリメントなどで補うのも一つの方法です。

ミネラルの不足は、目に見えてわかるものではありません。
不足が起きないよう食事に気を配れれば何よりですが、疲れやすくなった、集中力が続かない、など、体に不調が起きてから対処するのではなく、その予防の一環として、日常生活の中で、栄養補助食品を上手く活用することができるといいですね。

※本記事は管理栄養士監修のもと作成しております



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